神隠しの杜
「黄昏鏡真はどう?私の好きなオカルト小説の作家さん。テレビで見たけど、まだ十七歳の美少年作家なんだよぉ」

「美少年、作家?」

「うん。鏡ちゃんにぴったり」

「鏡、ちゃん……」

「鏡ちゃんって呼び方可愛いから」



そうこうしているうちに花火も終わり、熊野明日香がすべて片付け終えそれからくるりと振り返る。



「私が鏡ちゃんにお家あげる。鏡ちゃんは、あの二人を助けたいんでしょう?」



その言葉に彼岸花の少年、黄昏鏡真が目を丸くする。



「神隠しになるはずだった、から力はあるの。なり損ないだから、いつも使えるわけじゃないけど〜」

「協力してくれるのか……?」

「うん。もう、誰もいないから。神隠しの力が暴走してぜーんぶ、大切なもの、消し去っちゃったから」



これが熊野明日香との出会いであり、黄昏鏡真として歩き始めた始まり。



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