身勝手な恋情【完結】

なに!?


一瞬で頭が真っ白になった。


けれど抵抗する暇もなく、そのままビルの裏路地へと引っ張り込まれて。

ようやく頭が働き出す。


信じらんない、信じらんないっ……!

ムカムカしながら『そいつ』の名前を叫んでいた。



「和明っ!」

「おう! 久しぶりだな!」

「久しぶりって……」



精一杯怖い顔をしてみせたけれど、あっけらかんと笑われて目眩を覚える。


朝の出勤で辺りはごった返していると言うのにこんな真似をするなんて。いったいどういう神経をしているんだろう……。



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