身勝手な恋情【完結】
「久しぶりだろー? 会社やめてさ、携帯にも出ないし。なんでお前、無視するわけ?」
「――」
無視って……当たり前じゃない……!
私が青天目ビルヂングにある高槻デザインスタジオで働き出したことは、学生時代の共通の友人に聞いたらしい。
都内にインテリアデザイナーの事務所は星の数ほどある。
とは言え、口止めしておくべきだったんだ。けれど何しろ外面がいい和明のことだから、そうしたって時間の問題だっただろう。
ニコニコと笑いながら私を見下ろす和明を見上げる。
こいつには効かない、とわかっていても、もう私はお前に一ミリも愛情を持っていないのだと伝わるように、冷めた目で。
「今さら話すことなんかないでしょ?」
「――冷たいヤツ」