身勝手な恋情【完結】
ドアにもたれるようにして立っている彼を部屋の中に招き入れる。
「すみません、あの、ボタン、留めてもらえないでしょうか……留められなくて」
イヤだって意地悪言われることも覚悟したけれど、案外素直に蓮さんはうなずいてくれた。
「――後ろ、向いて」
彼に言われるがまま、そしてゆっくりと後ろを向く。
「――」
「――」
着のせいかもしれないけど、視線を感じる。
うなじがちりちりと毛羽立つ。
指先はあくまでもボタンにしか触れていないのに、その空気に抱かれているような気になる。