身勝手な恋情【完結】
蓮さんに引きずられるように劇場の中に入り別室で着替えさせてもらった。
おそらくVIP用の待合室として使われるんだろう。薄いピンクを基調にしたその部屋は、マリーアントワネットのお部屋みたいに可愛らしい。
荷物をソファーの上に置き、紙袋を開け、ドレスを広げた。
「わぁ……かわいい……」
シャルル・Mの服は一人で脱ぎ着が出来ないとは聞いていたけれど、本当にそうだった。
ゆったりとしたレモンイエローのパフスリーブに、ウエストからふわっと広がる膝上のフレア。胸元を飾る繊細なレースはおそらく全部職人の手によるものだ。
背中のくるみボタンは自分じゃ最後まで留められないから、仕方なく部屋の外で待っていた蓮さんに声を掛けるしかなくて。
「あの、蓮さん。ちょっと……」
「なに?」