身勝手な恋情【完結】
「そういう顔すんなよ。お前そういう性格の悪そうなことしないやつだっただろ?」
私をどこか下に見ている和明の言葉に頬がカッと熱くなった。
「誰のせいだと……っ」
とはいえ、やはりその一瞬、自分の顔がひどくブスになったような気がして。和明から目線を引きはがし足元に落とす。
冷静にならなきゃ……。
そうよこんなのバカバカしい……。
ひよ。もう、こんなことしたって時間はもとには戻らないし、そもそも和明の側にいたいなんて思わないでしょ?
ゆっくりと息を吐いて、こぶしをにぎる。
「急いでるのっ……」
つかまれていた腕を力いっぱい動かすと、和明はなぜかあっさりと手を離してくれた。