身勝手な恋情【完結】
「おはようございまーす!」
「おはよー」
元気よく挨拶をすると、すぐに挨拶があちこちから返ってくる。
事務所内は広く、また社長室は別室のため社長と顔を会わせることもほとんどない。
(ミーティングも副社長がやるし)
今日、来てるのかなぁ……
なんて、ついドアの向こうにいる彼の姿を想像してしまう。
こんなんじゃダメだ、と慌てて意識を振り切り、速足で自分のデスクに向かいPCを立ち上げた。
メールをチェックしながら、必要なものはプリントアウトして資料と一緒にまとめたり、お返事を書いたり。
突然の和明の登場に、心臓が止まるかと思うくらい驚いたけれど、こうやって何も考えずに手を動かしていれば、心は落ち着いてくるはず。