身勝手な恋情【完結】
「失礼します……」
トレイを腕に抱えてペコリと頭を下げ、部屋を出て行こうとすると
「――あの人たちがどうなろうが関係ない」
蓮さんがそう言って、私が開けたドアの隙間を縫うように応接間を出て行く。
え?
どうしたの、蓮さん!?
あっけにとられた私はその場に立ちつくし
「蓮!」
祐さんがソファーから立ち上がって彼の名前を呼んだのだけれど、結局蓮さんは戻ってこなかった。
それどころか、バタンと事務所のドアが荒々しく閉まる音がした。
蓮さん、出て行っちゃった……。
「はぁ……可憐ちゃん、ごめん」
祐さんが反対側のソファーに座った、うつむいたままの彼女に優しく呼びかける。