身勝手な恋情【完結】
蓮さんは、恐ろしく不機嫌そうな表情のまま、体の前で腕を組み、ドアのすぐ横の壁にもたれるように立っていた。
その視線は妹だという可憐さんではなく、足元にしか向けられていない。
そして当の可憐さんは、不満げに唇を引き結び膝の上の手元をジッと見つめている。
「櫻さん、ありがとう」
「い、いえ……」
祐さんだけがとりあえずニコニコしていて(と言っても大人の演技ってやつだろうけど)余計怖い。
緊張しつつテーブルの上にコーヒーを二つ並べる。
「――」
「――」
「――」
シン、と静まり返った応接間の空気が痛かった。
いったい何があったんだろう……。
何か雰囲気くらいわかるかもと思っていた私。妙にいたたまれない気持ちになってしまって、すぐさまこの場から逃げ出したくなっていた。
そもそも、家族の問題に他人の私が興味本位で首を突っ込めないよね……。