身勝手な恋情【完結】
「しかもこれ撮った時、小学生だったんだよ。天才でしょ?」
「え! 小学生!?」
「そうだよ。織音のお父さんは世界的に有名なアートディレクターで、織音は小学生のころから写真を仕事にしてたんだから! ただ、彼は滅多にカメラの仕事をしない人で……織音の写真、たくさん見たいって思ってる人間はたくさんいるのに……最近全然撮らなくて……」
可憐さんは切り抜きを大事そうに膝の上にのせ、指でなぞりながら、あの織音がいかに素晴らしいカメラマンかということを語ってくれた。
「可憐さん、織音さんのことが好きなんだね」
「――」
あんまりにも彼女が楽しそうに話すから、思わずぽろっと口にしてしまったのだけれど。
可憐さんは、ぴたっと話すのをやめて、黙り込んでしまった。