身勝手な恋情【完結】

「ああ、ひよ……俺はお前を怒らせるつもりも、悲しませるつもりもないよ」



だけど彼は不機嫌そうだった表情をがらりと変え――

そう、仮面をかぶってしまった。



「おいで、ひよ」



彼の前に立ち尽くす私の手を取り、引き寄せる。

昔に比べれば、少しずつ本音を話してくれるようになった蓮さんだけど、いざとなれば彼は空気を読み、こうやって私のご機嫌をとる。誤魔化してしまう――



「お前が好きだ。だからこんなことで喧嘩なんかしたくない」

「蓮さん……」

「知寿のことも気にしなくていい。お前はただ笑って、俺の側にいてくれればいいんだ」



私の背中に腕を回し、そしておなかに顔を寄せる。



< 391 / 469 >

この作品をシェア

pagetop