身勝手な恋情【完結】
「ああ、ひよ……俺はお前を怒らせるつもりも、悲しませるつもりもないよ」
だけど彼は不機嫌そうだった表情をがらりと変え――
そう、仮面をかぶってしまった。
「おいで、ひよ」
彼の前に立ち尽くす私の手を取り、引き寄せる。
昔に比べれば、少しずつ本音を話してくれるようになった蓮さんだけど、いざとなれば彼は空気を読み、こうやって私のご機嫌をとる。誤魔化してしまう――
「お前が好きだ。だからこんなことで喧嘩なんかしたくない」
「蓮さん……」
「知寿のことも気にしなくていい。お前はただ笑って、俺の側にいてくれればいいんだ」
私の背中に腕を回し、そしておなかに顔を寄せる。