身勝手な恋情【完結】
込み上げてくる涙を必死にこらえながら、呆然と私を見上げている彼を見下ろした。
「私、蓮さんのことが本当に好き……蓮さんのためにならなんだってしたいって思う……」
私を澄んだ瞳で見上げる蓮さん。
彼のこしのある黒髪を撫で、まるで少年のように清潔できれいな頬を撫でる。
「だけど、蓮さんの側にいるの、辛いです。伝わらないから。伝えてもらえないから……」
「……辛いって……」
「誰だって傷つくのは怖いですよ……だけど……」
「ひよ……」
彼の手が伸びてきた瞬間、身を逸らす。
「そうやって人の心から目を逸らして、逃げて!」
「――!」
彼の手が、雷に打たれたかのように震える。
青みがかってすら見える彼の瞳が激しく揺れる。