身勝手な恋情【完結】
蓮さんが声を押し殺し、唇をかみしめる。
「違います!」
「じゃあやっぱり知寿のこと気に入らないだけなんだ?」
「蓮さんっ……!」
「もういいよ」
蓮さんはうつむき、ぼそぼそとささやくと、すっと立ち上がり、ソファーの上に置きっぱなしになっていたコートをつかみ、部屋を飛び出す。
そんな姿を見て目まいがした。
蓮さんは逃げる。
いつも、私を置いて逃げていた――
ベッドでも……
知寿さんと再会したあのときも。
どうして逃げるの?
これ以上傷つきたくないから……?