身勝手な恋情【完結】
物腰柔らかにみせかけて、どこか硬質な雰囲気に見惚れながら、私は彼の背中を見送る――。
ああ、本当に素敵な人だった。
「ところで立花さんって、独身でしたっけ?」
「――そうだよ」
軽くうなずく草介さん。
そういえば、愛する娘がいると言っていた。
でも奥様の話はしない。
人生の成功者である彼にも思い通りにならないことはあったというんだろうか。
私は――
いったいどうなりたいんだろう?
どうしたいんだろう?