身勝手な恋情【完結】
蓮さんが欲しいのは従順な恋人。
全てを優しく包み込んで、彼を決して傷つけない人……。
例えば、かつては知寿さんにその面影をかさねたに違いない、幼い蓮さんが心の中で思い描いていた聖母のような……そんな人。
お互いの望みはすれ違い、今となってはどんどんその差を広げているような気がする。
ただの凡人で、いつも嫉妬ばかりしていて、泣いたりわめいたり、自己主張のあまり、恋人をドーンと突き飛ばすような私にいったい何が出来るだろう。
「はぁ……」
ため息をつきつつ、やることもないから、ゴミ箱をのぞいたついでに掃除を始めた。
と言っても、蓮さんは割と綺麗好きだから、それほど散らかったりしないんだけど。
蓮さんが帰ってきたら、とりあえず突き飛ばしたことは謝ろう……。
その先のことは、またゆっくり考えて――