身勝手な恋情【完結】
「あの、ですね……言いにくいんですけど、元彼とそういうことになんかなってませんよ。会ってすらないし」
「は……?」
「蓮さん、嘘つかれたんですよ」
「――コロス」
本当この人って……もしかして騙されやすいんだろうか。
その瞬間、それまで息をひそめるように静かだった会場が――
『キース……キース……キース!』
と、シュプレヒコールが始まって。
(最初に言い出した声。祐さんと和美の声に似ていた)
「なんだか無茶苦茶ですね……」
「だね」
蓮さんは苦笑しながら、泣き笑いしている私を見下ろす。
「ああもう……泣くなよ。昔は楽しかったけど、今はお前に泣かれると、本気で辛いんだ」
蓮さんは本当に困り果てたようにつぶやき、ため息をつくと
「笑って、ひよ。俺はお前を笑顔にしたい」
そっと頬を傾け、私の唇に触れるだけのキスを落とした。