早く気づけ、バカ。




「絹…?」



そっとしょーちゃんの目から手をはずした。




「私、最低な女だよね。

 しょーちゃんのことこんな傷つけて。」





ごめん、ごめんと

心の中で必死に謝る。




「本当にごめんね。


 しょーちゃん、私に時間をくれない?」


「…時間?」



「うん。」



「しょーちゃんのこと、好きになる。

 時間さえくれれば徐々にだけど…
 少しずつ、しょーちゃんのこと好きになれるから。」




きっと、

しょーちゃんのこと、好きになれる。


こんな素敵な人。


きっと、きっと…。




「絹…無理せんでもええよ?」


「無理なんかしてない。

 しょーちゃんのこと、好きになれるよ。

 いや、好きになりたい。」




嘘じゃなかった。


しょーちゃんのこと、好きになれると。


本気で思った。




「絹…。 ほんま少しずつでいい。

 あいつのこと好きなままでも別にええ。

 俺のこと


 好きになって。」





「…っはい!!」




二人で

顔をぬらして。


そして、


微笑みあった。





「なぁ、絹。」

「んー?」



「好きやで。」


「うん…私も。」






しょーちゃんは笑った。



ちゃんと



笑っていたよね?
< 25 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop