Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
エディンバラ城はカッスルヒルという岩山の上に建つ古代からの要塞であった。
城の一階は、守備隊用の部屋になっている。二階は大広間や書斎があり、三階には王や王妃の部屋があった。地下は貯蔵庫となっていた。
石の螺旋階段を使って、三階から一階に降りると、ジョーンは玄関ホールを通ってから、庭に出た。
右隣には、大きな建物がある。礼拝室だ。
ジョーンは六段ある階段を降りると、庭に咲いている薔薇に目を向けた。太陽の光を受けて、薔薇が誇らしげに咲いていた。
ジョーンの後ろにいたヘレンを、自由に走らせた。さっきまでいた大勢の騎士の姿は、もう何処にも見えなかった。
初めて目にした光景よりも、ジョーンには、ずっと中庭が広く見えた。
ヘレンを追いかけようとするジョーンの腕に、ケインがそっと触れてきた。優しく肘を掴むケインの手が、ジョーンには心地よかった。と、同時に心臓が高鳴った。ケインに触れられた肘が、熱帯びた。
「披露宴が控えております。あまりご無理はなさらないでください」
背の高いケインが、膝をつき視線を低くすると口を開いた。
青い服を着て、金髪の長い髪を一つに纏めて編んでいた。身体は大きいが、無駄な肉はない。鍛え上げられた身体に比例するように、肌は陽に焼けて褐色だった。
ケインは心配性だ。庭を走り回って怪我でもしたら大変だと思っているのだろう。
活発に動き回るジョーンを、いつも不安そうな目で追っているのをイングランドに居た頃からジョーンは感じていた。
城の一階は、守備隊用の部屋になっている。二階は大広間や書斎があり、三階には王や王妃の部屋があった。地下は貯蔵庫となっていた。
石の螺旋階段を使って、三階から一階に降りると、ジョーンは玄関ホールを通ってから、庭に出た。
右隣には、大きな建物がある。礼拝室だ。
ジョーンは六段ある階段を降りると、庭に咲いている薔薇に目を向けた。太陽の光を受けて、薔薇が誇らしげに咲いていた。
ジョーンの後ろにいたヘレンを、自由に走らせた。さっきまでいた大勢の騎士の姿は、もう何処にも見えなかった。
初めて目にした光景よりも、ジョーンには、ずっと中庭が広く見えた。
ヘレンを追いかけようとするジョーンの腕に、ケインがそっと触れてきた。優しく肘を掴むケインの手が、ジョーンには心地よかった。と、同時に心臓が高鳴った。ケインに触れられた肘が、熱帯びた。
「披露宴が控えております。あまりご無理はなさらないでください」
背の高いケインが、膝をつき視線を低くすると口を開いた。
青い服を着て、金髪の長い髪を一つに纏めて編んでいた。身体は大きいが、無駄な肉はない。鍛え上げられた身体に比例するように、肌は陽に焼けて褐色だった。
ケインは心配性だ。庭を走り回って怪我でもしたら大変だと思っているのだろう。
活発に動き回るジョーンを、いつも不安そうな目で追っているのをイングランドに居た頃からジョーンは感じていた。