Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
「クライシス伯爵夫人が亡くなってから、国王陛下の嫉妬が酷くなりましたからね。これからは、国王陛下が外出でもしないと、会えないかもしれません」

「ケインと会えないのは寂しいわ」

「しばらくは一緒にいられますよ」

 ケインがぎゅっとジョーンの背中を抱き寄せた。

(レティアの暗殺、早すぎたのかしら。それとも、遅すぎた?)

 ジェイムズがレティアの魅力に虜となる前に、暗殺を実行していたほうが、他の女へと気軽に乗り換えてもらえたのかもしれない。

 ジェイムズの嫉妬は日を追うことに増していった。

 毎夜、ジョーンの部屋に来ては身体を求めた。疑り深くなり、行動を把握したがって、何かと問うようになった。ジョーンにとって息苦しい毎日へと変化していった。

 今夜は、ジェイムズがいない。

 外交のためハイランド地方に今朝、出発した。数ヶ月間は城には戻らないだろう。できれば愛人の一人や二人でもつくって長期滞在して欲しいと祈っていた。

「ジェイムズがいる生活は息苦しいわ」

 ジョーンが小さな声で呟いた。ケインからの返事がなかった。
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