Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
―ケインSIDE―
午前九時。
ケインはジョーンの前に立って、接見の間に向かって螺旋階段を降り終え、二階の廊下を歩いていた。
赤い絨毯の上を歩くジョーンの表情がケインには暗いように感じた。
何かあったのだろうか。聞きたくても、聞けない。今はジョーンに聞いてはいけない気がした。
ケインには、あと一つ気になる点があった。
執事とメイドが朝から増えていた。見慣れない顔の人間が二人いる。執事のピットとメイドのキャサリンだ。
この二人が時折ちらちら見せる、厳しい目つきがケインには引っかかった。
とくにジョーンの傍に男が近づく度に、目が光る。
執事であろうが、騎士であろうが関係なく、一瞬、仕事の手を止めてジョーンの反応や男の態度を見ているのだ。
ケインは少し後ろを振り返った。ジョーンの着ている紫のドレスが見えた。スカートを揺らしながら歩いている。
ジョーンの後ろには、キャサリンが歩き、すぐ後ろにはエレノアとローラが並んで歩いていた。
一番後ろには、ウイリアムが歩いているはずだが、身長の低いウイリアムを確認できなかった。
前を向く直前に、ジョーンの顔色も確認にした。やはり表情が硬い。ジェイムズⅠ世と朝を過ごしたからだろうか。
午前九時。
ケインはジョーンの前に立って、接見の間に向かって螺旋階段を降り終え、二階の廊下を歩いていた。
赤い絨毯の上を歩くジョーンの表情がケインには暗いように感じた。
何かあったのだろうか。聞きたくても、聞けない。今はジョーンに聞いてはいけない気がした。
ケインには、あと一つ気になる点があった。
執事とメイドが朝から増えていた。見慣れない顔の人間が二人いる。執事のピットとメイドのキャサリンだ。
この二人が時折ちらちら見せる、厳しい目つきがケインには引っかかった。
とくにジョーンの傍に男が近づく度に、目が光る。
執事であろうが、騎士であろうが関係なく、一瞬、仕事の手を止めてジョーンの反応や男の態度を見ているのだ。
ケインは少し後ろを振り返った。ジョーンの着ている紫のドレスが見えた。スカートを揺らしながら歩いている。
ジョーンの後ろには、キャサリンが歩き、すぐ後ろにはエレノアとローラが並んで歩いていた。
一番後ろには、ウイリアムが歩いているはずだが、身長の低いウイリアムを確認できなかった。
前を向く直前に、ジョーンの顔色も確認にした。やはり表情が硬い。ジェイムズⅠ世と朝を過ごしたからだろうか。