Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
(二人とも死んだのね)
ローラとエレノアを先に休ませて本当に良かったと、心の奥底からジョーンは思った。
もしかしたら、ここに二人の遺体があったかもしれない。ジョーンの気持ちを理解してくれている二人には、死んでほしくない。
左右に伸びた廊下から無数の足音が聞こえてくると、ジョーンはピットの死体から顔を上げた。
左右両方から足音が聞こえた。
ジョーンはまず左側に目をやった。ケインとウイリアムが駆け足で、ジョーンに近づいてきた。
二人の腰についている剣が、足に繰り返し当たってかしゃかしゃと音を鳴らしていた。
右側からはダグラスを先頭に、騎士隊が近づいていた。廊下を歩いている騎士隊は八人だ。青い外套を翻して早足で、ダグラスのすぐ後ろを歩いていた。
「王妃陛下、いったい何が?」
ジョーンと目が合ったダグラスが走り出すと、わざとらしく大きな声を上げた。
(何もかも知っているのに。ダグラスったら白々しいわ)
ジョーンは両手で強く握っていた短剣を右手に移動させてから、顔についていた血を左手で拭った。
べっとりと、ジェイムズの血がついた。
ローラとエレノアを先に休ませて本当に良かったと、心の奥底からジョーンは思った。
もしかしたら、ここに二人の遺体があったかもしれない。ジョーンの気持ちを理解してくれている二人には、死んでほしくない。
左右に伸びた廊下から無数の足音が聞こえてくると、ジョーンはピットの死体から顔を上げた。
左右両方から足音が聞こえた。
ジョーンはまず左側に目をやった。ケインとウイリアムが駆け足で、ジョーンに近づいてきた。
二人の腰についている剣が、足に繰り返し当たってかしゃかしゃと音を鳴らしていた。
右側からはダグラスを先頭に、騎士隊が近づいていた。廊下を歩いている騎士隊は八人だ。青い外套を翻して早足で、ダグラスのすぐ後ろを歩いていた。
「王妃陛下、いったい何が?」
ジョーンと目が合ったダグラスが走り出すと、わざとらしく大きな声を上げた。
(何もかも知っているのに。ダグラスったら白々しいわ)
ジョーンは両手で強く握っていた短剣を右手に移動させてから、顔についていた血を左手で拭った。
べっとりと、ジェイムズの血がついた。