Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
 エレノアが椅子に掛けておいたピンクのガウンを手に、再度ジョーンの左側に立った。

「まだ国王陛下を暗殺した集団が居残っているんでしょうか?」

 ローラが不安気な顔をしていた。桶の中でジェイムズの血を洗い流したタオルを絞って、ジョーンの横に立った。今度は足についている血を拭いた。

「可能性があるなら、もっと王妃陛下の護衛する兵が必要ですわ」

 エレノアも真剣だ。ガウンの腰紐を縛ると、エレノアがドアの方角を見た。仕切り板の向こう側にはダグラスしかいない。

「ダグラス様が不満というわけではないんですよ。ただ、もっと人数がいたほうが、安心するというか」

 エレノアの言葉が終わる前に、仕切り板の横からダグラスの手が見えた。

「人数がいては困るんだよ」

 ダグラスの右足が見えると同時に、腰から剣を引き抜く音が聞こえた。

(ダグラスは何をするつもりなの?)

 ダグラスが片側の唇だけ持ち上げて笑うと、剣をジョーンの首元に向けた。
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