Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
 冷え切ってしまった手足をジョーンは暖炉の前に差し出した。足先がとくに冷えて、指の感覚が鈍くなっていた。

 目が覚めていたヘレンも部屋に入ると、ソファの左側で丸くなり、瞼を閉じた。

 ローラとエレノアが、ソファ右側に並ぶと、床に腰を下ろした。

 二人が寄り添うように座った。ローラの震えがおさまらないのだ。恐怖に加え、寒さもあるのだろう。エレノアが心配そうに肩を抱いていた。

 部屋の前の廊下には、騎兵が二人で立っていた。

 騎兵以外の全員が部屋に入るなり、ゼクスがドアを閉めたので、どんな立ち位置かはわからない。きっとドアの左右に別れて立ち、護衛しているのだろう。

 室内では、ゼクスが窓の前に、ドアの右横にはウイリアムが立った。

 ケインは大丈夫だろうか。ダグラスを見つけたのだろうか。

 見つかって、その場で殺してくれるといい。ジョーンはダグラスの死を願った。

 生きていたら、また命を狙われるかもしれない。ダグラスが生きている限り、こちらも追いかけるつもりだ。諦めたりしない。
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