Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
 赤いガウンを着たまま、布団の中に滑り込んだ。脱いだドレスや化粧台の片づけを、エレノアとローラがしていた。

 今夜一晩、スクーン修道院で過ごしたあと、パレードをしながらエディンバラ城に帰る予定になっていた。

 城に戻ったら、今度はスコットランド中の貴族を集めて祝宴の予定が待っている。

 これでダグラスが見つかれば、ジョーンの心配の種は無くなる。

「陛下、大丈夫ですか? 盛大な載冠式でしたね」

 ケインがジョーンの休んでいる部屋に入ってきた。スクーン修道院に祝福に来た貴族たちの接待で忙しいだろうに。

 幼い国王に代わって、ケインがスコットランドを治めていくのだ。休む暇もないケインのほうが、疲労が蓄積しているはずだ。

「疲れてしまったみたい。今日は早く休むわ」

 ケインが室内に入るなり、気を利かせてエレノアとローラが退出していった。ジョーンは、ベッドの上からケインの姿を眺めた。

 青い外套を外すと、椅子の背もたれに引っかけた。腰についている剣を外してベッドの脇に立て掛けると、靴を脱いでベッドの上に尻を乗せた。
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