Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
 ダグラス城に奇襲を仕掛け、六代目ダグラス伯爵を殺し、七代目のダグラス伯爵の地位を得た。

さらにハイランド地方の貴族たちと手を取り合って、国王軍に戦を宣言したのだ。

 ダグラスにとって、七代目ダグラス伯は通過点に過ぎないのだろう。反乱軍の筆頭に立つのに、何か箔が欲しかったのだ。

 ケインは視線を持ち上げると、アレグザンダーの目を見つめた。ケインもダグラスに負けていられない。さっそく戦に向けて行動を起こさなくては。

 机の向こう側で、手紙を持ったままでいたアレグザンダーと目が合った。

「反乱軍を迎え撃とう」

(ダグラスは私がこの手で殺す)

 ケインの低い声が響いた。声に力が入っていた。

「三年前にダグラスをパースで仕留めていれば、戦争にはならなかったのですが」

 アレグザンダーが小声で悔しそうに呟いた。アレグザンダーの言葉がケインの胸に針が刺さったように痛かった。

ケインを傷つけるつもりで、アレグザンダーが口を開いたわけではない。三年前のダグラス捜索に、アレグザンダーも参加していたのだ。そのときの感情が蘇ったのだろう。
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