Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
 三年前の出来事はケインにとって本当に悔やんでも悔やみきれない。情けない行為に走ったと思っている。

他人に頼らず、一人で全てを処理していれば、ダグラスが王位に就こうなどと邪な考えを生み出さなかった。

ケインがダグラスに、隙を見せてしまったのだ。

「三年前の事件を含め、ジェームズ・ダグラスには、きちんと処分を受けさせないと」

 ケインは机を叩きながら立ち上がった。ダグラスへの憎しみから、机へと叩く手に力が入った。手にじんわりと痛みが伝わってきた。

 本日の議場での話が決まった。戦に向け、貴族議員が白熱した意見を出すのが想像できる。

 議員たちの白熱した意見といっても、たいした内容は話してない。それでよくジョーンが怒っている。今日の議会でも、ジョーンは怒鳴るのだろうか。

 ケインも中身の伴っていない話合いは意味がないと思っている。戦に向け、的確な命令をしなくてはと、ケインは心に言い聞かせた。

「議会の前に、太后陛下に手紙の内容を報告してくる。アレグザンダーは議場で待ってくれ」

 ケインは机の横を通り、アレグザンダーの肩を叩くと、執務室のドアに向かって歩き出した。
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