Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
 午前十時半。ケインはジョーンのいる応接間に入った。執事の開けたドアから、女性たちの談笑が耳に飛び込んできた。

 ジョーンの楽しそうな笑い声を耳にして、ケインの心が温かくなった。頬の筋肉も思わず緩みそうになり、喉を鳴らして気を引き締めた。

 暖炉の一番近い位置にあるソファにジョーンが座っていた。赤いドレスから、白くて細い腕が見えていた。

手で口を覆い、上品に笑っていた。ジョーンの向い側のソファにはケインの妹マーガレットとジョーンの弟の妻エリナーが座っていた。

 マーガレットとエリナーがスコットランドに来てから、ジョーンの笑顔が増えた。笑い声を上げて、楽しそうに会話をしたり、花見を楽しんだりするようになった。

 ジョーンの視線が動き、ケインと目が合う。

それに気がついたのか、マーガレットが髪を揺らしながら、振りかえった。

ケインの顔を見たマーガレットが不満そうに頬を膨らませて立ち上がった。

マーガレットはゆったりした水色のドレスを着ているが、妊娠している大きなお腹は目立っていた。
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