Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
ジェイムズは腰に佩いている長剣を抜くと、三回ほどマードックの肩を刀身で叩いた。
マードックの手がジョーンの腰から離れ、すぐにジェイムズの後ろに移動した。
「両陛下で、私を騙したのですか?」
マードックが今までにないくらい低い声を出していた。まるで唸り声をあげる犬のようだ。
「余の妃に、邪な考えを抱いたアルバニ公マードックを、今すぐ縛れ」
ジェイムズの命令で、家臣が暗闇から姿を現した。人数は三人か。
ジョーンが認識できる範囲にいるのは、三人だけだった。足音も、人の動く音も三人だ。
黒い塊がマードックに近づくと、地面に叩きつける音が聞こえた。痛がるマードックの声が耳に入った。
押さえつけた家臣が、縄の縛り方の命令をしていた。マードックの両手を背中に回し、手首から二の腕にかけて厳重に縄で縛り上げているようだった。
ジョーンの後ろで足音が去っていくのが聞こえた。振り返ると、すぐ後ろにいたはずのケインの影がない。
ジェイムズと家臣が来たので、ケインがその場を離れていったのだろう。
できるなら、傍にいてほしい。ジョーンは場所を移動すると、ジェイムズの後ろに立った。
「ジョーンに恋をしていたのだろう? 余と結婚する前から。アルバニ公から聞いただけの女に恋し、愛人にでもしようとしたか? 余が最期に願いを叶えてやったのだ。誘われて嬉しかっただろ? だが、これ以上は駄目だ。余の妃だからな」
ジェイムズが大きな声で笑い出した。ジェイムズ以外は誰も笑わない。優越感に浸るジェイムスの声が、暗闇を支配する。
マードックの手がジョーンの腰から離れ、すぐにジェイムズの後ろに移動した。
「両陛下で、私を騙したのですか?」
マードックが今までにないくらい低い声を出していた。まるで唸り声をあげる犬のようだ。
「余の妃に、邪な考えを抱いたアルバニ公マードックを、今すぐ縛れ」
ジェイムズの命令で、家臣が暗闇から姿を現した。人数は三人か。
ジョーンが認識できる範囲にいるのは、三人だけだった。足音も、人の動く音も三人だ。
黒い塊がマードックに近づくと、地面に叩きつける音が聞こえた。痛がるマードックの声が耳に入った。
押さえつけた家臣が、縄の縛り方の命令をしていた。マードックの両手を背中に回し、手首から二の腕にかけて厳重に縄で縛り上げているようだった。
ジョーンの後ろで足音が去っていくのが聞こえた。振り返ると、すぐ後ろにいたはずのケインの影がない。
ジェイムズと家臣が来たので、ケインがその場を離れていったのだろう。
できるなら、傍にいてほしい。ジョーンは場所を移動すると、ジェイムズの後ろに立った。
「ジョーンに恋をしていたのだろう? 余と結婚する前から。アルバニ公から聞いただけの女に恋し、愛人にでもしようとしたか? 余が最期に願いを叶えてやったのだ。誘われて嬉しかっただろ? だが、これ以上は駄目だ。余の妃だからな」
ジェイムズが大きな声で笑い出した。ジェイムズ以外は誰も笑わない。優越感に浸るジェイムスの声が、暗闇を支配する。