Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
 ジョーンは横に立っているエレノアに小袋を渡しながら、顔を見た。不安そうな顔をしていた。

「確率は高いわ。すでにロイとの関係もあったようだし、何とも言えないわね。レティア自身なら、どちらの子か、知っているんじゃないの?」

 ジョーンの言葉に、エレノアとローラが暗い顔をした。

「心配しなくていいわ。レティアに子が産まれても、何とも思ってないわ。問題は王位継承権ね。レティアに奪われなければ、それでいいのよ」

(レティアの子が産まれたくらい、何でもないわ)

 ジョーンは胸の中で、呟いた。本当は気にしている。産まれなければいいと思っていた。妊娠を知ったときも、流産すればいいのにと、心の片隅で願っていた。

 無事に産まれたとしても、成人するかわからない。男子は身体が弱く、死に至る確率は高い。

 ジョーンの娘が、すくすくと元気に成長している。二人いるが、両方ともジェイムズの子だ。今のところ、王位継承はジョーンの子が有利だ。

 ジェイムズがレティアに惑わされて王位継承権について発表しない限り、ジョーンの子が王位に就く。

 動揺を表に出して、オロオロするなんて、気の弱い女がする行為だ。
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