Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
 どんな逆境になっても、堂々と胸を張っていなければ、王の妻とは言えない。

(私は王妃よ)

 ジョーンは力強く目を開くと、エレノアとローラに微笑んだ。

(負けるなんて、あり得ない)

 玄関ホールのドアが開いた。外からケインが入ってきた。

「馬の用意ができました」

 ケインが頭を下げると、ジョーンの前に手を差し出した。ジョーンはケインの手を取ると、立ち上がった。





        
 ジョーンは、ケインと一緒に散歩に出かけた。馬に跨り、前を走っているケインを追いかけた。

 ケインの馬が、馬車道の安定している道を走った。黒い土を蹴り上げて走っている尻を、ジョーンは眺めながら追いかける。

 ケインの背中が大きくて頼もしい。いつも見ている背中なのに、いつ見ても頼りがいのある広い背中が、ジョーンには魅力的に感じた。

(ケインともっと一緒にいたいの)

 時間の許す限り、ケインがジョーンの傍にいてくれる。朝も昼も夜も、ずっと。

 それでも足りないと感じてしまうのは、我が侭なのだろうか。今の夢は、ケインの子を身篭りたい。きっと可愛い子が産まれてくるに違いない。

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