仮面の裏側

「特別室は理事長室、生徒会室、風紀委員室があるフロアのことだ。
この、3つは生徒の個人情報を多く、扱うからね。
一般の生徒は入れないようにしているんだ。」


そこまで、言うと理事長は顔を上げて、真剣な顔をした。

そして、真っ直ぐに見つめてきた。


「でも、彩優花は僕の娘だ。
そして、その鍵を悪用することはないと思っている。
だから信用して鍵を渡しておくよ。
何かあれば、いつでもその鍵を使って僕のところにおいで。」


理事長さんはすべてを包み込んでしまうような笑顔を浮かべた。

この人に頼れば、どんな痛みも辛い事も、受け止めてくれるような気がした。

どんなことも安心して任せることができるように感じた。


「はい。
分かりました。」


気づけば、無意識のうちに返事をしてしまっていた。


__コンコン。


穏やかな空気が流れていた理事長室に、控えめなノックの音が響いた。


「君の隣の部屋の子に向かえを頼んでおいたから、その子が来たのかな。」


「どうぞ。」と理事長さんが言うと、ゆっくりと扉が開いた。
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