仮面の裏側

暫く歩くと、校舎の奥に向かい合うようにして建っている建物が見えてきました。

寮、みたいです。

右側に向かって歩いているので、右側が女子寮で、左側が男子寮みたいです。

寮はなにやらビルみたいな建物で、外観から察するに15階ほどあるみたいです。



寮の中に入ると、玄関ホール脇の窓口のようなところに女の人が声を掛けました。

窓口にはカーテンがひかれています。


「新入り連れて来たんだけどー。」


少し間があってカーテンからお婆さんが顔を出しました。

60歳くらいでしょうか。


「はいはい。
部屋の鍵は理事長さんから受け取っているみたいだから、部屋の番号はそれを見て行って頂戴ね。」


お婆さんは穏やかに微笑みながら言いました。


「鍵、貰ってたの?」

「…はい」

「だったら、部屋は分かってるから。
梅さんありがとう。」


お婆さんは“梅さん”というらしいです。

女の人はまた、私の腕を掴むと真っ直ぐにエレベーターに向いました。

エレベーターに乗り込むと躊躇うことなく、最上階、15階のボタンを押しました。

他に利用する人はいなかったらしく、スムーズに15階まで行けました。
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