ありえへん!!
結局、楓に引っ張り回されて
「おかえり」
家に戻ったのは夕方って!
「要、ちゃんとやってる?ご飯食べてる?」
「お袋、俺もういい年の大人なんだから。ちゃんと食ってます」
帰って来る度に言われる。
「いくつになっても息子は息子よ」
「まぁな」
ありがたいとは思うけど、お袋にしたら 俺は未だに学生時代と同じなんだと思 う。
その夜は一日早いクリスマスを家族で細やかに。
しかし、お袋も俺が帰ってるからとチキ ンやサラダやシチューやそれに何故かち らし寿司まで作って『食べろ食べろ』と煩い。
ワインも三人で二本空けてクリスマス ケーキまで食って。
久しぶりに家庭の団欒ってな感じだ。
「あ、そうだ、お兄ちゃん」
「ん?」
「明日、真瀬さんと来るんだよね。桐生さんに話したら喜んでた。ほらやっぱり 男性ファンって貴重だから」
「あ~アイツたぶん無理」
煙草は…此所では吸えないよな。
コーヒーを注いで
「アイツのお祖母さんが倒れて大阪に帰ってる。何の連絡もないから病院に詰めてるんだと思う」
「えっ?そうなの。大変ね」
「あぁ」
今日は楓に引っ張り回されてたから電話はしてないが、アイツからもかかってき てないから大変なんだと思う。
アイツ…大丈夫かな。
お祖母ちゃんっ子だって言ってたし。
「お兄ちゃん明日は来てくれるんでしょ?」
「あ、あぁ、アイツ等にも会いたいし な。一人で行くよ」
「えっ?チケット」
「アイツが持ってる。それこそ大事に財布に入れてる」
そう、まるで子どもみたいにライヴを指折り数えて待っていた。
「そっか。じゃあまた次の機会には連れて来てね」
「あぁ」
コーヒーを飲み干し
「もう俺、寝るわ」
「あら珍しいわね。疲れているのかしら?ゆっくりお休みなさいな」
「ん。じゃあおやすみ」