アシタのナミダ
カレンⅡ
「ジュリ」





4年前。





とてもとても暑い真夏の8月13日。





「やっと出た。嫌われたかと思っちゃった」





火照った地表を冷ますように降り出した夕立が、地下鉄の駅から這い上がってきた私の脚を止めていた。





「ごめん、地下鉄だったから。どうしたの? カレン」





忘れてないよ。





「ジュリの声が聞きたくて」





初めて出逢ったあの日、雨に濡れたアナタの瞳は何も捉えてはいなかった。





自分から別れたのに視線の先で彼を探していたのは、ほんとうに愛していたからなんだね。




だから何度も別れては付き合っていたんだね。





あの頃の私は自分勝手と思ったけど、今ならわかる気がするよ。




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