アシタのナミダ
『沖縄のおばぁに孫の嫁だけじゃなくて、曾孫の顔を見せたいんだ』





あの時、トキオは言った。





『ほらそこを御覧。誰にも知られずに咲く華の何と美しい事か。誰が見るともわからずこれほどまでに艶やかな花弁を開くのだ』





まるで王女に恋したナイトのように。





『だから、この可憐な華のように恋せよ。乙女』





王女もナイトを愛していたのに、呪われて醜い姿に変えられたナイトを最後には彼から貰ったナイフで殺してしまう。





死を迎えて呪いが解けたナイトを見て王女は自ら彼を殺したナイフを自分の胸に突き刺す。





私にお似合いの物語だった。





でもトキオ、





『君がどんな辛い目に遭おうとも、僕が君を守るよ』





プロポーズの言葉は、嘘なんかじゃなかったんだね。





今頃気付いたよ。





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