アシタのナミダ
黒だけの世界Ⅱ
走る。





漆黒の闇の中を。





走る。





一条の光を目指し。





走る。





腕を強く振り、脚を素早く蹴り抜く。





早く、早くアナタの笑顔を見せて。





少しでも見ていないと不安になってしまう。





「トキオ……」





光の中に浮かび上がる影。





ゆっくりと振り返る。





両手を伸ばして、アナタを抱き締めた。





「トキオ。もう離さないで」





囁いて見つめ合う。





微笑む彼の顔に触れると、いつもと違う柔らかさに驚いた。





「トキオ……?」





その頬が、ゆっくりと剥がれ落ちる。





赤い血が滴り、白い骨が見えていた。





顔の筋肉が笑顔のまま、引きつっていくのがわかった。





私の声にならない声が、私の鼓膜を突き破り、何も聞こえなくなる。





だけど、





「ジュリエ―――」





と、頭蓋骨に確かに響いた。




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