私が立ち上がらなかった理由
隣に座ったその人が
吐息がかかかるほど耳に近づいて話しかけてきたおかげで、
私は飛び上がりそうになった。



「なんですか?」



今思い浮かんでいた文章が飛んでしまったことに
若干イラっとしながら、
左横に座っているその人の方を向く。




「だから、今から暇?」



私の顔を覗き込んでくる。



「電車待ちしてるだけなんで暇じゃないです。」



それだけ言って再び携帯をいじり始める。



「いいじゃん、今から俺と遊ばない?」

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