空色の瞳にキスを。
廊下をあてもなく駆けて、この場所から逃げ出す。

射るような、探るようなふたりの瞳から逃げ出す。


そんな彼女に反応し、すぐにルグィンが彼女のあとを追う。


まっさらな白に近い髪の彼女がスズランたちから遠ざかる。


「あっ!ナナセッ!
戻ってきて!!」

スズランが叫ぶ。



本当の、あたしの、名前で。


─だけどばれたからにはここにはいられない。

そう思った彼女は駆け出した足を止めない。

廊下に二人が消えていく。


スズランも二人が去った方向へと足を向ける。


「あんたたち、私や黒猫の目の届くところであの子狙ってみな。

ルグィンがきっと許さない。」

そう捨て台詞を吐いて、スズランもナナセを追う。


残された二人は、嵐を起こした本人なのに、嵐から置いていかれてしまう。



黒い瞳をより深く闇色にしながらトキワは呟く。

「サシガネの言った通りだ。
あの子、ナナセだ。」

揺さぶりをかけたトキワは何の悪気もなくそう言う。

ハッ、とサシガネは笑う。


「だろう?
揺さぶり、サンキュ。お疲れ様。」

ナナセといた瞳とは全く違う、射るような瞳のサシガネ。

ゆっくりと口元を引き上げる。

「…最初の1日目は信じていたけど、怪しいと思って正解だったな。

ずっと近くにいたらナナセの振る舞いのままにしていたボロがが見える、見える。

隠すのも難しいだろうなぁ。」

彼はそんな瞳のままに、カラカラと笑う。


「…さて。
…どうやってあいつを手に入れようか。」


彼は狩人の眼になる。

冷酷で、世界を見下ろしているような表情で。

「でも黒猫が黙っていないって…。」

そう返すと、それは愉しそうに愉しそうにサシガネは笑った。


「見つからないように手にいれるんだよ。」

─そう。

彼らは、狩人。


賞金首を狩る、首狩りの一人─…。

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