空色の瞳にキスを。
「落ち着いたか?」

くすん、と鼻を鳴らしたナナセはまだ赤い目をして答える。

「うん。

あたしの変化の魔術は色んなところがそっくりそのままであるようにしてるから、赤い目が隠せないのは不便だな…。」

小さなタオルで目を見せないように空を駆けるナナセを、じっくり見ようとはせずに遠くの空を眺めるルグィン。

「兎みたいだよな、赤い目。」

そんなからかいに黒髪の少女はさっきまでの真剣な雰囲気はどこへやら、くすくすと笑う。

「あんなに赤くはないよ?」


「まあな。」

そう言って2人で見た進行方向に2人の顔色がさっと変わる。


遠くに見えてきた小高い丘の森の中にある煉瓦造りの時計搭。

「リョウオウの時計搭…。」

視線を外せないナナセがぽつりと呟く。

「あぁ。」

ルグィンも先程の優しい瞳から一転、鋭く金が光る瞳に変わる。



「もうすぐだ…。」

緊張からナナセの胸が締め付けられる。

ふぅ、と息をひとつついて、ぎゅ、と固く瞑ってまた目を開ける。

黒い瞳は時計搭を迷いなく見つめる。

「大丈夫、きっと助ける。」



近付いてきたリョウオウの街に、久しぶりに見るアズキの家を探し始めた。

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