空色の瞳にキスを。
自分を裏切ったライへまだ少しだけの願いを抱えて、いつか会いに行きたいと、願う少女。

その願いを最後まで聞いて、隣の異形の少年は口を開く。



「旅の仲間を望むなら、ライに会ってその願いが叶うまででも、その後まででも。


…俺が旅の連れになってやる。」

この王女のためなら、どんなことでも出来る気がした。

忌み嫌われる異形で、一般人より少しだけ優れた禁忌の体が、今は誇れる気がした。


少し下を飛んでいたナナセが、はっとしたようにルグィンを見上げる。


「ほんとう…?

一緒に助けにいってくれるだけでいいのに…。」


目を見開いて、涙で濡れていた瞳がさらに潤む。

「いい。
これは俺の意思。」

彼のこの想いに、裏はなかった。


「俺がついていくのは、お前は嫌か…?」


ナナセは小さく首を何度も振る。

「ううん、そんなの違う。
嫌じゃないよ、あたし。

嬉しいよ…。」


彼女は同じ高さまで上ってきて、彼の左手を優しく握る。

手を握ったまま彼女がうつむくから、黒い瞳から溢れた雫がルグィンの手の甲に落ちる。



─信じられない世界の中で、あたしを受け入れてくれた、数少ない人。

ナナセはまたポロポロと涙を溢す。


─その中でもひときわ優しい彼の不器用な優しさが自分を助けてくれる度に、切なくて、嬉しくて。


あたたかい気持ちが胸に染みていく。


─出会った1ヶ月ほど前は、あんなに警戒していたのに。


その優しさがもう、今は純粋に嬉しいだけだった。

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