空色の瞳にキスを。
「俺か?
国の反逆者を三人捕まえたぜ。
普段の仕事も捨て駒部隊だから時給はそこそこいいけど、あれだな!
首狩りは桁違いに金が貰えるなからな。
特に王女だな!
3桁違いな金額だ、いつかこの手で仕留めてやりたいぜ!」
はははっと元気よく笑ったあと、黒猫を振り返れば、彼の後ろを歩く少女の表情に目がいく。
「お?
ファイ、お前どうしたの?
顔が引きつってねぇか?」
黒髪の少女は話を振られたことに肩を跳ね上げて若干驚いたが、すぐに顔の筋肉を緩める。
自分を仕留めたいと願われることは、気持ちのいいことではない。
上手く笑って言えるか、不安だった。
「あ、大丈夫です。
ただ、首狩りって危ないでしょう?
賞金首を追うのって命懸けでしょう?
…だから、怪我されたら嫌だなぁって。」
ふっ、と下を向いて黒い瞳を伏せる少女。
完璧に嘘とも言えないが、咄嗟に考えた言葉が黒髪の少女の口からするすると出てくる。
─『命懸けで戦う彼が心配』なんて。
健気な言葉で塗り固めた自身の心の中は、不安で溢れかえって。
ナナセである心の中は、今しがた知った事実に混乱していた。
ルグィンの仕事については聞いたことなかったけれど、まさか自分を追う部隊だとは知らなかった。
─裏切られたなんて、思いたくない。
─なんで、言ってくれなかったのかな。
黒髪の少女のそんな心の内は、初対面のナコになんて分かる訳もなく。
表情の小さな変化に気づいたルグィンは、自分の背中にくっついて歩く少女に、明るい金の瞳を向ける。
─強くて、明るいいつもあたしが見ている綺麗な瞳。
その瞳は、『信じて』とでも言っているようにファイであるナナセには感じられた。
だから少女は真っ直ぐな黒い瞳を返した。
彼の視線ひとつで、動揺していた心の内はゆっくりと落ち着いていく。
─きっと、大丈夫。
何の根拠もなくそう思って、はっと気付く。
─もう。
─もうこんなにあたしの中の信頼が大きいんだ。
─きっと。
─ルグィンなしではダメなんだろう。
どうしてか、そう思った。
ぎゅ、と締め付けられたような切ない胸の痛みを感じながら、ファイは悲しそうに小さく笑った。
もう信頼は、仲間はなくては生きていけないあたしの心。
糧になることも、枷になることも分かっているのに。
止まらないんだ─…。
国の反逆者を三人捕まえたぜ。
普段の仕事も捨て駒部隊だから時給はそこそこいいけど、あれだな!
首狩りは桁違いに金が貰えるなからな。
特に王女だな!
3桁違いな金額だ、いつかこの手で仕留めてやりたいぜ!」
はははっと元気よく笑ったあと、黒猫を振り返れば、彼の後ろを歩く少女の表情に目がいく。
「お?
ファイ、お前どうしたの?
顔が引きつってねぇか?」
黒髪の少女は話を振られたことに肩を跳ね上げて若干驚いたが、すぐに顔の筋肉を緩める。
自分を仕留めたいと願われることは、気持ちのいいことではない。
上手く笑って言えるか、不安だった。
「あ、大丈夫です。
ただ、首狩りって危ないでしょう?
賞金首を追うのって命懸けでしょう?
…だから、怪我されたら嫌だなぁって。」
ふっ、と下を向いて黒い瞳を伏せる少女。
完璧に嘘とも言えないが、咄嗟に考えた言葉が黒髪の少女の口からするすると出てくる。
─『命懸けで戦う彼が心配』なんて。
健気な言葉で塗り固めた自身の心の中は、不安で溢れかえって。
ナナセである心の中は、今しがた知った事実に混乱していた。
ルグィンの仕事については聞いたことなかったけれど、まさか自分を追う部隊だとは知らなかった。
─裏切られたなんて、思いたくない。
─なんで、言ってくれなかったのかな。
黒髪の少女のそんな心の内は、初対面のナコになんて分かる訳もなく。
表情の小さな変化に気づいたルグィンは、自分の背中にくっついて歩く少女に、明るい金の瞳を向ける。
─強くて、明るいいつもあたしが見ている綺麗な瞳。
その瞳は、『信じて』とでも言っているようにファイであるナナセには感じられた。
だから少女は真っ直ぐな黒い瞳を返した。
彼の視線ひとつで、動揺していた心の内はゆっくりと落ち着いていく。
─きっと、大丈夫。
何の根拠もなくそう思って、はっと気付く。
─もう。
─もうこんなにあたしの中の信頼が大きいんだ。
─きっと。
─ルグィンなしではダメなんだろう。
どうしてか、そう思った。
ぎゅ、と締め付けられたような切ない胸の痛みを感じながら、ファイは悲しそうに小さく笑った。
もう信頼は、仲間はなくては生きていけないあたしの心。
糧になることも、枷になることも分かっているのに。
止まらないんだ─…。