空色の瞳にキスを。
銀を緩く左で結んだ髪飾りは、彼女によく似合う濃紺の宝石。

銀髪の淡い光に縁取られたその顔は薄く化粧されていて。

だからか細い髪の間から覗く空色は、いつになく艶めいて見えてしまう。

銀の細い髪をあげていて、胸元が大きく開いているから見えてしまう白い首筋。

身に纏うのは、彼女の華奢な足が片足は太股まで見えてしまう、丈の長い大人っぽい青いドレス。

胸の下で胴にくるりと巻かれた大きな瞳と同じ色のリボン。
透ける素材の薄いカーディガン。
膝まで革紐を巻いたサンダル。


スズランによって着飾られた彼女は、文句無く綺麗で。


一番早く立ち直ったリクが、もう一度全身を眺めて、とびきりの笑顔で微笑む。

「お似合いですよ。」

「…ありがとうございます。」

リクが淡い青の瞳を緩ませて、得意の笑みをナナセへと向けると、ナナセは恥ずかしそうに笑った。

衣装はがらりと変わっても、ふわりと、いつもの儚い笑い方は抜けないようで。
だけど白い肌に赤みが差したその笑顔も、いつもより少しだけ色っぽく見えた。
淡く微笑む彼女の空色の瞳はいつもより際立つ肌の白さで、ぐんと澄んで見える。


「ナナセ大人っぽーい!」

ぱたぱた軽い足音と共に彼女へ近付き、顔を綻ばせる茶髪の少女にまた彼女も嬉しそうに笑う。

四つの空色の水晶がアズキを見つめて優しさを含んで和らぐ。

淡い空色の瞳の少女は口元を綻ばせたまま、銀髪を揺らして淡い空色の瞳の金髪の青年の方を振り向く。
綺麗な二人の空色が、申し合わせたように交わって。

ナナセと視線が合ったリクは空色の瞳で言葉を落とさず、そっと笑う。
その笑みが、アズキにはいつもと違って色を持ったように見えた。

─少しだけ、嬉しそうな、それでいて寂しそうな。


完璧な何でも屋には似合わぬ表情は、アズキが一度瞬きをする間に消えていた。

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