空色の瞳にキスを。
近付いてくる二人を見てサシガネが笑顔で言葉を投げる。


「ユリナと黒猫、見てた?俺ら、勝ったぜ。」

彼らに負けてしまった首狩りの二人は足場へと残して、サシガネとトキワが足場から飛び降りてユリナとルグィンに歩み寄る。

「うん、見てたよ。
お疲れ様です。二人とも凄く強いのね。」

首狩りふたりにユリナがやわらかく笑いかけた。それぞれに近づいてなんでもない会話をしていると、足場の近くにいた男が話しかけてきた。

彼もナナセには見覚えがある首狩りで、やはり屈強な男だった。

「そこの銀髪、お前はナナセじゃないのか?」

ユリナとナナセは同一人物とは決して見破られたくない。またここでも、嘘に嘘を塗り固める。

「違う。」

嘘を吐いてくれたのは、ルグィンだった。

「そうだぜ、こいつは違うぞ。な、トキワ。」

「あぁ。」

それを固めてくれるのは、サシガネとトキワだった。

「ルイ・ユリナ。ナナセの再従兄弟よ。そっくりでしょう?」

──動揺なんか包み隠して、ユリナという架空の人物へとなりきれ。

ユリナを演じて、ナナセは笑った。

「……確かに似ている。本当にナナセでないのか?」

相棒らしきもう一人の男が話に入ってきた。

「そうだな。闘えばナナセかどうか分かるだろ。闘い方もあまりにも似すぎていればおかしいよな。似ていても癖は違うだろうから。」

「おい、ユリナ。俺たち相手で足場で闘おうか。」

しまった、ナナセはと思った。
闘い方などすぐには変えることができない。闘い方から、太刀筋から、得意な魔術から、ナナセだと分かってしまう。でも闘わないと怪しまれる。これだけたくさんの人に正体を明かしてしまえば、魔術で逃げることも難しい。

だからユリナとして彼女は頷いた。

「分かった。いいわ。
あたしはどうするの?」

淡い空色の瞳に、決意の色。

「二人組で闘おうか。組む相手、探してこいよ。」

どん、と正面から肩を押された。ユリナはぐら、と重心を崩してよろめく。

「え……。」

そんなこと理不尽だ、と思った。

──あたしと組んでくれる人なんかいない。

どうしようかと悩み、彼女は瞳を伏せる。後ろにいるサシガネたちも、なにも言わない。首狩りだから、彼らに頼む気はなかった。

こんな場所で人なんか信頼なんか出来ない。それなら、ひとりで闘うほうがいいと、ユリナは顔を上げた。

「……いい。あたし、」
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