空色の瞳にキスを。
二人の男が足場を強く蹴って、ふたりへと向かってくる。ユリナとルグィンは動かない。待ち構えているように、足場に立ちこちらへ来る二人の男を見つめる。
観衆であるまわりの男たちの声がやけに耳についた。
「ユリナ、いくぞ。」
向かい側の二人との距離がだんだん縮まり、ルグィンがようやく動いた。
彼は武器も何も持たずに走り出す体勢を作る。その声に、銀色の彼女は手の中の杖を握りしめて小さく頷いた。
「うん、分かった。」
その声を聞いて、ルグィンは駆け出した。
一人の男が走りながら剣を握り直し、ルグィンに狙いを定める。もう一人は、走る方向を変えずにユリナのもとへと駆けてくる。
ルグィンがある程度離れると、やっと彼女も動き出した。杖を体の正面でくるりと回し、彼女は叫ぶ。
「我、願う!この地に炎の鬼神あらんことを!」
ごう、という音と共に、まわりに嵐が吹き荒れる。相手の男たちも、ルグィンも風に耐える。
誰もが吹き荒れる風の中で、低いしわがれ声を聞いた。
皆がそれぞれに手で自分を庇う中で、彼女は木製の杖を持ち天井を見上げた。微かに、その唇が動いている。
嵐がおさまると、それぞれがその発生源を探す。嵐の発生源である彼女は、風とともに生まれた炎を従えて、いつもと変わらない顔で杖を回している。
彼女が杖を持つ両腕を水平に差し出すと、彼女のまわりを炎が螺旋状に回りだした。
深紅に近い赤の炎が彼女を包む。巻き上げる炎が、白い髪に赤を添えた。
ルグィンは呆気にとられて彼女の行動を呆然と見ていた。濃い深紅の炎と、淡い空色の彼女。ひどく不釣り合いな組み合わせめがけて、もう一度男が向かう。
炎など見えていないように、彼女へと下卑た笑いを浮かべていた。
ひときわ大きく跳び上がり剣を大きく振り上げて、彼女の頭上を狙う彼の顔は『闘い』の表情ではなく、『殺し合い』の狂気にくらんだ表情だった。
血の赤を見るために剣を握る、そんな男が自分に迫ってきても、彼女は少しも動かない。
悲しそうに男を見ているだけだ。
もう一人の相手をしているルグィンが助けに向かおうとしたとき、杖を握り直し、早口に彼女は声を紡いだ。
「──レイ。」
その瞬間、ユリナの目の前で大きな炎が花開く。
ぶわり、赤く広がる炎の先にいる男を見据えたまま、ユリナは唇を引き結んだ。
彼女のまわりを包むその炎にも構わず降り下ろされた男の刀は、カン、と高い金属音がして止まる。男が力任せに切ろうとするも、切ることができない。そのうち男は炎の熱さに耐えられなくなり、後ろへと跳び一度距離をとる。
観衆であるまわりの男たちの声がやけに耳についた。
「ユリナ、いくぞ。」
向かい側の二人との距離がだんだん縮まり、ルグィンがようやく動いた。
彼は武器も何も持たずに走り出す体勢を作る。その声に、銀色の彼女は手の中の杖を握りしめて小さく頷いた。
「うん、分かった。」
その声を聞いて、ルグィンは駆け出した。
一人の男が走りながら剣を握り直し、ルグィンに狙いを定める。もう一人は、走る方向を変えずにユリナのもとへと駆けてくる。
ルグィンがある程度離れると、やっと彼女も動き出した。杖を体の正面でくるりと回し、彼女は叫ぶ。
「我、願う!この地に炎の鬼神あらんことを!」
ごう、という音と共に、まわりに嵐が吹き荒れる。相手の男たちも、ルグィンも風に耐える。
誰もが吹き荒れる風の中で、低いしわがれ声を聞いた。
皆がそれぞれに手で自分を庇う中で、彼女は木製の杖を持ち天井を見上げた。微かに、その唇が動いている。
嵐がおさまると、それぞれがその発生源を探す。嵐の発生源である彼女は、風とともに生まれた炎を従えて、いつもと変わらない顔で杖を回している。
彼女が杖を持つ両腕を水平に差し出すと、彼女のまわりを炎が螺旋状に回りだした。
深紅に近い赤の炎が彼女を包む。巻き上げる炎が、白い髪に赤を添えた。
ルグィンは呆気にとられて彼女の行動を呆然と見ていた。濃い深紅の炎と、淡い空色の彼女。ひどく不釣り合いな組み合わせめがけて、もう一度男が向かう。
炎など見えていないように、彼女へと下卑た笑いを浮かべていた。
ひときわ大きく跳び上がり剣を大きく振り上げて、彼女の頭上を狙う彼の顔は『闘い』の表情ではなく、『殺し合い』の狂気にくらんだ表情だった。
血の赤を見るために剣を握る、そんな男が自分に迫ってきても、彼女は少しも動かない。
悲しそうに男を見ているだけだ。
もう一人の相手をしているルグィンが助けに向かおうとしたとき、杖を握り直し、早口に彼女は声を紡いだ。
「──レイ。」
その瞬間、ユリナの目の前で大きな炎が花開く。
ぶわり、赤く広がる炎の先にいる男を見据えたまま、ユリナは唇を引き結んだ。
彼女のまわりを包むその炎にも構わず降り下ろされた男の刀は、カン、と高い金属音がして止まる。男が力任せに切ろうとするも、切ることができない。そのうち男は炎の熱さに耐えられなくなり、後ろへと跳び一度距離をとる。