空色の瞳にキスを。
ルグィンに打ちのめされたり、気絶させられたりして動けなくなった男二人をユリナは魔術をかけてふわりと浮かせた。そして彼女が両手を下へと振れば、足場から床へと二人の体が優しく降ろされる。
ルグィンが足場からひらりと飛び降りる。
小さなかすり傷をいくらか作っていたが、彼はあまり怪我をしていない。
一番怪我が少ないのは遠距離で戦ったユリナ自身。
対して、相手であった男たちは刀を持っていて有利なはずなのに、彼らの方が傷を負っていた。ユリナは足場を降りて男たちを降ろした場所へ向かう。
「悪いな。」
ルグィンと戦って動けないくらいが、意識のある男は一言ユリナに礼を述べた。
「大丈夫?」
「…あぁ。負けたんだ、これくらいは当然だ。」
ユリナには血まみれでそう笑っている男が、少し自分と次元が違うと感じてしまう。ふと、恐ろしくなった。もしかして、この場所にいればこんな風になるのかな、と少し恐ろしくなった。
「ユリナちゃん、ルグィン、お疲れさま!」
そんな不安を拭ってくれたのはサシガネの明るい声。
「うん。ありがとう。」
その声に救われて、少し笑えた。サシガネとトキワが喋ると、不安が彼方に飛んでいく。
「しっかしユリナちゃんもルグィンも強いなー!」
「そうだな。二人とも慣れてるな。」
わはは、と笑うサシガネと、珍しく微笑むトキワに、自然にユリナも笑えた。
「ユリナちゃん、やっぱり魔術師だな!あの龍はユリナちゃんの召喚獣?」
そんなサシガネの問いに、彼女は一瞬驚いた顔をして、口を開く。
「ううん、違うの。
ソウレイは友達。……昔からの、ね。」
そう言って笑った彼女の笑顔はどこか影のある笑みだった。
それ以上は彼女はなにを聞かれても小さく笑うだけで、答えはしなかった。
***
それから早々と訓練室を後にして、二人でユリナの部屋へ続く廊下を歩く。
「今日はごめんね。」
「別に、いい。何かあれば闘う奴らだからお前が巻き込まれることは予想がついてた。」
だからあの時お前を誘わなかったのに、とルグィンに小さくため息をつかれユリナは少し肩を落とした。けれどすぐユリナは顔をあげて、また俯いた。怪訝な目が、ユリナを見下ろしていた。その目に出会って、ユリナは思い切って声にした。
「助けてくれて、ありがとう。」
改めてお礼を言うのはなんだか恥ずかしくて、両目をかたく瞑って頭を下げた。知らないうちに両手を握りこんでいた。いつのまにか立ち止まってさえいた。
唇を引き結んで俯いていれば、頭に軽く手を乗せられる。くしゃ、と銀髪が彼の手に乱された。
「当然。」
安心させてくれるぬくもりに被せるように、低くて優しい声で短い答えが返ってくる。どうしてかそれが嬉しくて、ユリナは思わず小さく笑った。
ルグィンが足場からひらりと飛び降りる。
小さなかすり傷をいくらか作っていたが、彼はあまり怪我をしていない。
一番怪我が少ないのは遠距離で戦ったユリナ自身。
対して、相手であった男たちは刀を持っていて有利なはずなのに、彼らの方が傷を負っていた。ユリナは足場を降りて男たちを降ろした場所へ向かう。
「悪いな。」
ルグィンと戦って動けないくらいが、意識のある男は一言ユリナに礼を述べた。
「大丈夫?」
「…あぁ。負けたんだ、これくらいは当然だ。」
ユリナには血まみれでそう笑っている男が、少し自分と次元が違うと感じてしまう。ふと、恐ろしくなった。もしかして、この場所にいればこんな風になるのかな、と少し恐ろしくなった。
「ユリナちゃん、ルグィン、お疲れさま!」
そんな不安を拭ってくれたのはサシガネの明るい声。
「うん。ありがとう。」
その声に救われて、少し笑えた。サシガネとトキワが喋ると、不安が彼方に飛んでいく。
「しっかしユリナちゃんもルグィンも強いなー!」
「そうだな。二人とも慣れてるな。」
わはは、と笑うサシガネと、珍しく微笑むトキワに、自然にユリナも笑えた。
「ユリナちゃん、やっぱり魔術師だな!あの龍はユリナちゃんの召喚獣?」
そんなサシガネの問いに、彼女は一瞬驚いた顔をして、口を開く。
「ううん、違うの。
ソウレイは友達。……昔からの、ね。」
そう言って笑った彼女の笑顔はどこか影のある笑みだった。
それ以上は彼女はなにを聞かれても小さく笑うだけで、答えはしなかった。
***
それから早々と訓練室を後にして、二人でユリナの部屋へ続く廊下を歩く。
「今日はごめんね。」
「別に、いい。何かあれば闘う奴らだからお前が巻き込まれることは予想がついてた。」
だからあの時お前を誘わなかったのに、とルグィンに小さくため息をつかれユリナは少し肩を落とした。けれどすぐユリナは顔をあげて、また俯いた。怪訝な目が、ユリナを見下ろしていた。その目に出会って、ユリナは思い切って声にした。
「助けてくれて、ありがとう。」
改めてお礼を言うのはなんだか恥ずかしくて、両目をかたく瞑って頭を下げた。知らないうちに両手を握りこんでいた。いつのまにか立ち止まってさえいた。
唇を引き結んで俯いていれば、頭に軽く手を乗せられる。くしゃ、と銀髪が彼の手に乱された。
「当然。」
安心させてくれるぬくもりに被せるように、低くて優しい声で短い答えが返ってくる。どうしてかそれが嬉しくて、ユリナは思わず小さく笑った。