【BL】俺がお前にできること
「これから2Bと1Bの試合を始めます、礼」
「お願いしまーす」
体育館に着くと、瑛知と弥生ちゃんの試合が始まった瞬間だった。
いつも作り笑いを浮かべている弥生ちゃんは、いつになく真剣な眼差しで敵を見ていた。
「弥生せんぱいっ。お手柔らかにお願いしまっす♪」
「えーちも、ね」
にこ、と瑛知は笑って挑発。
弥生ちゃんは黒いオーラを放っていた。
そんな二人を見て
剛は意外そうな顔をする。
「へえ~、弥生ってあんなんだったっけ?
昔はもっと可愛らしかったのに」
剛は今の弥生ちゃんとは話したことがない。
帰宅部だし、学年違うしで
弥生ちゃんとの接触が難しいのだ。
「そうだね。昔の方が可愛かったかも……」
そうかもしれない。それでも…
「…でも。今の弥生ちゃんも、可愛いよ」
生意気で、すぐに俺に悪態つくけど…
ほんとは泣き虫で、本音をあまり言わなくて
守ってあげなきゃって思わせる。