【BL】俺がお前にできること
「俺は翔太くんに、弥生みたいな想いはしてほしくないんだ」
「……なんで、そんなこと剛さんに言われないといけないんですか。そうなるって決まった訳じゃないでしょう」
「絶対にそうなる!!
同性が簡単に受け入れられるわけないだろ!!」
バンッ―――。
壁に思い切り押し付けられて背中が痛い。
心が痛い。
現実が、俺を叩きのめす。
「それに郁馬くんは、違う子が……女の子が好きなんだろ?」
「そうだね…」
いつだって郁馬は
鈴だけを見ていた。俺はそれを知ってて、好きになった。
だから、それは
もう受け止めなくちゃいけない。
だから、郁馬が鈴を好きだとかに
いちいち、傷ついたりしない。
たくさんの可能性は自分で消してきたつもりだ。
郁馬と、こんな風な関係になれたのも
消した可能性の一つ。
それが叶ってしまったから
俺はまた、叶うんじゃないかって、高望みをしてしまうんだ。