Hurly-Burly 4【完】

***


どうやってそこまでたどり着いたかなんて分からない。

ただ、必死だったのは言うまでもない。

いつだってあり得る状況下にはいた。

7年経って帰ってくる前だってきっと今より

ずっと危険なところで暮らしてたかもしれない。

それだからって、いつも突拍子もなく嵐を

巻き起こして人を心配させる天才で本当に

血が繋がっているとはいえ毎度困らされる。

夏休みの終わりに帰ってきたと思えば、

何か企んでいるような気がした。

その癖、きちんと就職して仕事をする

毎日を送って確かに大した事件は起こさなかった。

それにしたって、血が濃すぎる。

受け継ぎ方が半端じゃない。

朝だって元気に応援歌歌って背中を

押してくれてたのに、こんなのあんまりだ。

「あの、立花透真がこちらに運ばれてきたそうですが!?」

坂を駆け上って受付に行くとにっこりと

笑みで対応してくれるナースのお姉さんが

緊急処置室の方に案内をしてくれた。

「日和、大丈夫?」

何故か、今になって兄ちゃんとの思い出が

走馬灯のように思い浮かべられる。

手術中の前には藤永さんがソファーに座って

下を向いていてギュッと唇を噛み締めた。

兄ちゃんの愛情はそれこそ大きすぎるから、

恥ずかしくてやめてよと何度も思ったけどごめんなさい。

あたしはまだ兄ちゃんに死んで欲しくないよ。

煩いなんて言ってごめんねってまだ言ってない。

本当は大好きだからって言えれば良かった。

意地を張らずに伝えられたらどんなに良かっただろうか。

今更こんなふうに思うんだから先を見据えて言えたら

こんなに激しく後悔することはなかっただろう。

足元がボヤけるように自責の念に駆られた。

後悔してからは遅いとはよく言ったものだ。

こんなことになるならちゃんと伝えられる素直な

妹で居れば良かった。

バイトのスタッフの子が藤永さんと祈るように

下を向いて座っていた。

みんな、みんな、兄ちゃんのことを心配している。

だから、死んだら許さないんだから。

あたしを置いていくなんて格好悪すぎだよ。

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