Hurly-Burly 4【完】
手術中の赤いランプが消えると同時執刀医の
お医者さんが出て来てハッと顔を上げた。
その瞬間、お医者さんが首を横に振ったように見えた。
一気に喪失感からかジッとしてられなくて手術室に
乗り込もうとしたらお医者さんにビックリされながら
止められて噛み付こうとした。
「あれ、日和ちゃ」
そんな時だった、手術室からひょっこり顔を出した
兄ちゃんは生きていた。
おまけにビックリして唖然としている藤永さんと
ペットショップ『ジョンリー』のスタッフの男の子。
どう見てもあたしの言動が可笑しいわけだが、
意味が分からずパニックになり顔面を地面に叩きつけた。
「えっ、ひーちゃん!?」
顔面蒼白になって片足でぴょんっと跳ねて、
駆け寄ってくる兄ちゃんを前に更にパニックになって
走り出そうとした途端だった。
床に尻餅ついて転んだ前には何故かみんな居て、
更に更にパニックになって今度は一旦落ち着こうと
死んだフリをしようとした時に兄ちゃんがうわ~んっと
言いながら抱きついてきた。
死んじゃうかと思ったら必死だった。
それなのに、とんだ茶番劇だ。
その癖、呆れるぐらい安心した。
お医者さんは不思議そうな顔をして、
彼女も事故に巻き込まれたのですかねと藤永
さんに話している横で膝に抱きついて離れない
兄ちゃんを静かに見つめた。
「兄ちゃん、事故に遭ったんじゃなかったの?」
「痛いよ、ひーちゃん。兄ちゃんの足捻挫で
車に跳ねられて飛ばされたんだ。」
えっΣ(゚д゚lll)
跳ねられて飛ばされたのにその程度の怪我で済んだのか!?
ある意味、奇跡を通り越して超人だ。
どんな身体能力持ってるんだこの人。
スリスリ膝に泣きつく兄ちゃんは相変わらず泣き虫だ。
「はいはい、痛いの痛いの飛んでけ~」
兄ちゃんのズボンで全然気付かなかったけど、
包帯が巻かれていてホントに捻挫らしい。
さっきの紛らわしいお医者さんのやり取り何だったの!?
しかし、藤永さんだって兄ちゃんが!!
もう何から何が本当なのか未だにパニックで
頭の整理が付きそうにないのに無事で何よりだったと
思うと兄ちゃんに冷たく突っぱねられそうになかった。