Hurly-Burly 4【完】
父さんが台風に吹き飛ばされた日も膝小僧
のかすり傷だけで済んで大泣きしたのを思い出す。
「ひーちゃん、兄ちゃんが死んでも天国から
温かい目で見守るからな~。おー、おー」
ただの捻挫で大げさなところも、無茶苦茶な
ところも父さんに似た行動に出る兄ちゃんの
悪いところで全くどうしようもない。
「透真君、大丈夫っすか?」
スタッフの男の子が兄ちゃんの喚きっぷりに
驚いてしどろもどろになっていた。
「はい、捻挫だけみたいですからご心配なさらず。」
ペコリと頭を下げれば男の子が少し顔を赤くした。
首を傾げながら、兄ちゃんがへばりついてくる
から移動できずにいた。
「日和ちゃん、ごめんな。説明足りなくて。」
「いえ、こんなことは日常茶飯事でしたから
今まで起きなかったことが不思議なぐらいです。」
腰に手を回されて締め付けられる勢いだった。
いい加減、力緩めろ!と思う。
「どっちが年上だか分かんねぇな。」
「すいません、藤永さんにお手間かけさせてしまって。」
「や、俺もビックリで吹っ飛んだのに捻挫で済んだ
透真君には完敗だ。」
藤永さんが、顎を掻きながら手続き取ってくると言って
その場から去った。
「透真さん、怪我大丈夫ですか?」
サユも駆けつけるとサユにハグしようとしたから
顔面を殴った。
「ひーちゃん酷いっ。」
「サユに迷惑をかけるな。あたしが居るであろうが。」
「ひーちゃん、イケメンだね☆」
「もう一発殴ってもいいけど?」
こんな困った兄も実の兄なわけで、本当にこの程度
の怪我で済んで良かった。
「おー、おー、千治君に馨君にナル君、それから京君
に慶詩君だっけ?あと、ユウヤ君と伊織君まで誰か
入院してるの?」
「に、兄ちゃんが救急車で運ばれたとか言うから!」
「ひーちゃん、もしかしなくともプンスカ?」
「プンスカだよっ!」
兄ちゃんのこの性格をどうにかしたいところである。
みんな、呆然としてるじゃないか。
すごく恥ずかしくてしょうがないよ。